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九州身体障害者陸上競技協会 2009ワークショップin「かごしま」

 今秋一番に冷え込んだ11月3日、鹿児島市のハートピアかごしまでワークショップが開催されました。
「立位選手を対象にしたトレーニング理論や、基礎トレーニングを勉強したい」という声が鹿児島県内の会員から上がったのを受け企画されたこのワークショップは、立位選手や伴走者、障害者スポーツ指導員に案内し、鹿児島県、熊本県、大分県、宮崎県より25人の参加者が集いました。

午前中は、鹿屋体育大学スポーツトレーニング教育研究センターの金高宏文准教授による講義「陸上競技のトレーニング」でした。鹿屋体育大学陸上競技部で短距離ブロックをコーチしている金高先生は、豊富な研究資料をもとに実践的なトレーニング法の理論について説明されました。
トレーニングの基礎では、まず運動する時間によってATP-CP系、解糖系、有酸素系といったようにエネルギー供給能が異なるため、自分の種目がどれ供給系に相当する運動なのか理解する必要性を示唆。これを知った上でインターバルやレペティションといったトレーニングという手段を選択し、効果的な運動時間と休息時間、反復回数を決定することが肝要とのことでした。
短距離走のトレーニングでは、疾走速度はストライドとピッチで決まり、疾走速度の維持より、最大速度を上げることが記録向上の鍵。ストライドアップには、ラダー(梯子)等を用いるスティック走や、追風や下り坂(1度程度の緩やかな坂)で行うアシステッド走、逆に向い風や上り坂で負荷を加えるレジステッド走が有効で、ピッチを速めるにはリバウンドジャンプや縄跳び等で設置時間を短くするトレーニングを推奨されました。また、大腿後部(ハムストリング)を鍛えることができるタイヤ押しや雑巾がけ、上体と腰の捻じれを防止する目的で体幹(腹筋・背筋群)のトレーニングの重要性を解説されました。
長距離走のトレーニングでは、12分間走(できなければ1500m走や5分間走でも可)や20mシャトルランで最大酸素摂取量を測定し、トレーニングする上で運動強度設定の一助とすることが望ましいと説明。補助運動として短距離と同様に、ストライドとピッチを向上させるトレーニングも飛躍の鍵になるとのことでした。
最後にトレーニングのマネジメントとして、練習日誌をつけ、定期的に運動効果等をチェックし、次のトレーニング手段に反映させることが大切だと話されました。

実技は、グラウンドでするため寒さが心配されましたが、午後からは風も止んで気温が上がり、絶好の秋晴れに恵まれました。
実技「陸上競技の動きづくり」は、鹿屋体育大学で体育学修士を取得した鈴木章介先生が担当しました。鈴木先生は、鹿児島市内の総合型地域スポーツクラブSCCなどでコーチを担当するほか、現役の棒高跳び選手でもあり、自ら動きづくりのドリルで手本を見せ、丁寧に指導されました。
ウォーミングアップで細かい筋肉に至るまで入念にストレッチした後、いよいよ動きづくりです。頭のてっぺんからおしりの穴まで1本の棒のようなイメージでその場跳び。真上に跳び上がれない時はどこかの方向に軸がぶれている証拠です。その場跳びから徐々に軸を前に倒し推進力を得ながら両足跳びのまま前方へ移動。この時、身体の伸張反射を生かすため、接地時間を短くし、地面からのエネルギーをもらうイメージで行います。
次は地面の上をなめらかに移動する動きづくりです。踵から拇指球へスムーズな重心移動を意識したドリルや、腰(骨盤)のドリルで足をコンパスのように伸ばしたまま腰をツイストし交互に前方へ振り出す歩行をした後、膝関節が最も力を発揮できる直角のポジションを意識づけるためランジ歩行をし、各自膝のパワーポジションを実感しました。
スピードを生み出す動きは、蹴り終わった足をいかに前方へ振り出すかがキーポイントとし、振り上げている足と支持している足を挟みこみながら瞬時に入れ替えるハイニーマーチや、さらに実際の走りに近づけたツースキップへと動きを進化させました。最後に高く跳ぶスキップから前方への低いスキップへ切り替える動作をし、一通りのドリルを完了しました。プッシュ(地面を強く押す動作)とスウィープ(ハムストリングを上手く使い掃くようになめらかな動作)が必要だとまとめられました。
ドリルの後、走りに必要な筋を鍛える補強運動を教わり実技が終了しました。

今回のワークショップは天候に恵まれ、シーズンオフから冬季練習へと切り替わるタイミングで効果的な学習ができました。一方、1日限りのワークショップの割に内容を欲張りすぎた感があり、講師の先生も説明が駆け足になり、参加者も理解するまでもう少し時間がかかるように思えました。今後はもう少し講義のポイントを絞るか、数回に分けてワークショップを行うか、何らかの工夫が必要だと感じました。


今回のワークショップに関する資料をご希望の方は九州身体障害者陸上競技協会理事長前田氏までメールを下さい。
(報告:前田 究)



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